MOSの基礎、インバータ回路、シュミット回路、切り替わり電圧など、について

updated 2020-02-16

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CMOS回路の基礎

1、CMOS回路インバータ回路の基本事項

1、CMOSインバータ回路の基礎


MPNC1.JPG

これから順に、CMOS回路を勉強していくのですが、まずは、超基本的な回路からはじめたいと思います。ロジック回路でよく使われるインバータ回路です。特徴を簡単にまとめてみましょう。

入力信号に対して出力信号を反転できる。
DC的な入力電流は流れない(過渡的にはゲートチャージ電流が流れる)
静止時の消費電力が小さい(入力が十分H or Lの場合)
切り替わり電圧付近で貫通電流が流れる。
切り替わり電圧付近のゲインは高い(PchとNchの両方飽和領域時)


2、インバータ回路の入出力特性

では早速、インバータ回路の動作を確認してみます。
電子回路シミュレータLTspice入門編 で紹介されているLTspiceを用いて動作確認してみます。このLTspiceを用いれば、自宅のパソコンで簡単に回路の動作を勉強できるので便利です。作者もこのソフトと使っています。

では早速LTspiceを用いて勉強していきましょう。

inv_dcsim.jpginv_dcsim_results.jpg
(a) Sim回路 (b) Sim結果
Fig.1 インバータ回路のシミュレーション

Fig.1から分かりますように、入力Vinに対し出力Voutは反転しています。またM1のドレイン電流を見てみると、切り替わり付近で貫通電流が流れています。これは切り替わり電圧付近でPchMOSとNchMOSが同時にONするためです。以上の理由より、インバータ回路として使う場合の入力電圧は、切り替わり電圧付近の電圧ではなく、十分にHかLの入力をする必要があります。

3、インバータの切り替わり電圧

では次にインバータ回路の切り替わり電圧特性を確認してみましょう。

inv_dcsim.jpginv_dcsim_results2.jpg
(a) Sim回路 (b) Sim結果
Fig.2 インバータ回路のシミュレーション

Fig.2から分かりますように、入力Vinに対し出力Voutは反転し、Voutが2.5Vになる電圧はVin=1.943Vです。

この値を実際に計算してみましょう。

ここで用いているMOSのパラメータを以下の値とします。

PchMOS:ksq=8m、Vth=0.734
NchMOS:ksq=14m、Vth=0.679

切り替わり電圧=[KsqnVthn+Ksqp(Vcc-Vthp)]/(Ksqp+Ksqn)となるので、数値を代入すると

切り替わり電圧=[14m×0.679+8m×(5-0.734)]/(8m+14m)
=1.983v

と計算できました。Sim値のとの誤差は約2%です。


以上今回はインバータ動作の基本を確認してみました。更に勉強したい場合は、 集積回路工学 2 などで勉強してください。





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